
骨粗鬆症とは、骨が弱くなって折れやすくなってしまう疾病のことです。骨を支えている骨梁という、文字通り建物を支える役割を担う“梁”にあたるものが、細くなり、さらに本数も減ることで、スカスカの状態になってしまい、骨強度が低下します。原因として老化や運動不足、喫煙、糖尿病、女性ホルモン減少などが挙げられます。骨粗鬆症自体には自覚症状がないため軽視されがちなのですが、転倒などのちょっとした衝撃だけで骨折する場合があり(脆弱性骨折)、そうすると日常生活動作(ADL)の低下を引き起こし、そのまま要介護となってしまえば、周囲の人の生活の質(QOL)にもかかわってしまいます。
骨粗鬆症で引き起こされやすい脆弱性骨折は、以下のようなものがあります。
- 脊椎圧迫骨折
- 背骨が押しつぶされたように変形するものです。重いものを持ったり、くしゃみなどでも発症し、知らないうちに起こっている場合もあることから「いつのまにか骨折」とも呼ばれています。コルセットで固定する保存療法、あるいは手術による治療となります。
- 大腿骨近位部骨折
- 太ももの付け根の骨に発生します。転倒や足を捻ることで発症し、強い痛みと内出血による腫れが見られることもあります。治療には手術とリハビリが必要です。
- 上腕骨近位端骨折
- 二の腕の方に近い部分の骨の骨折です。転んで手をついたり、肩から落ちるなどして発症します。骨折の程度によって固定して保存療法を取るか、手術を行うか決定します。
- 橈骨遠位端骨折
- 手首の親指側にある骨の骨折です。転んで手をついたときに発症します。骨折の程度によって固定して保存療法を取るか、手術を行うか決定します。
骨粗しょう症を診断する際は、骨の強さを判定する指標である骨密度検査を行います。また骨の代謝状態を血液や尿検査で判定します。専門的な診断を行い、生活習慣の改善や投薬などの治療を行うことで骨密度の減少を改善し、骨折リスクを低下させることが可能です。予防や病気の進行遅らせるためには、まず検査をして、自分の体の状況をチェックすることが重要です。特に50歳以上の女性の方は、定期的に骨粗鬆症の検査をすることをお勧めします。