
PFC-FD™療法(Platelet-Derived Factor Concentrate Freeze Dry)とは、血小板が傷を治す際に放出する”成長因子”の働きを活用し、人体がもともと持っている「治癒力」を高める治療法です。
患者様ご自身の血小板由来成長因子濃縮液を凍結乾燥保存したものの関節や筋腱の疾患・損傷に対する成長因子を注射します。
プロスポーツ選手が怪我の改善に活用したことで話題になった再生医療「PRP(多血小板血漿)療法」がありますが、PFC-FD™療法はそのPRP療法を応用した技術になります。
現在ではPRP同様に関節症や、関節周囲の靭帯や軟部組織の治療に活用が始まっています。
PRP療法との違い
PRPは自己血液を遠心分離して得られる血小板が多量に含まれた液体(多血小板血漿)のことですが、PFC-FD™では作製したPRPをさらに活性化させ、血小板に含まれる成長因子だけを抽出、濃縮(成長因子の総量がPRP療法の約2倍(※TGF-β)し、これをフリーズドライ加工することにより、長期保存も可能となります。(※PRP療法は採血当日)
PFC-FD™療法で改善が期待できる疾患

1、変形性関節症:変形性股関節症、変形性膝関節症、変形性足関節症
2、筋・腱・靭帯:股関節周囲炎、股関節周囲筋腱付着部炎、上腕骨外側上顆炎(テニス肘)、アキレス腱周囲炎、靭帯損傷など
関節内で炎症を起こしているような状況において、PFC-FD™を関節内に注入(注射)することで炎症を抑制、痛みや腫れの緩和が期待できます。
その効果には個人差がありますが持続力があり、概ね3ヶ月から半年ほどと見られています。
リハビリテーションとの併用
関節内で炎症を起こしているような場合、PFC-FDを関節内に注射することで、炎症を抑え、痛みや腫れといった症状の緩和が期待できます。
その効果には個人差があるものの、一定期間持続するため、それらの症状が抑えられている間にリハビリテーションを行っていただき、患部周辺の筋肉を鍛えることで関節への負荷を減らし、QOL(生活の質)の改善を目指すことができます。
リハビリや軽い運動習慣の結果、体重減少に成功すれば、さらに関節にかかる負荷が軽減される、という好循環も期待できます。
PFC-FD™療法のメリット
① 安全性が高い
PFC-FD™は患者様ご自身の血液から製造されるため、他人の組織を使った治療や薬物による治療と比べると、拒否反応や感染症リスク、その他の副作用が少ない治療です。
② 施術が簡便
PFC-FD™療法は医療機関への原則2回の訪問で完了します。手術や入院といった負担がなく、注射を受けた日に歩いて帰ることも可能です。
※PFC-FD™療法はその抗炎症作用で痛みが引いている間に運動療法を取り入れることで効果を最大化できるため、施術後に運動療法の指導を受けるための通院が推奨されています。
PFC-FD™療法のデメリット
① 自由診療のため治療費は自己負担
PFC-FD™は新しい治療であり、公的保険適用ができない「自由診療」のため全額自己負担となります。
② 注射特有の痛みがある
負担の少ない治療法ですが、注射特有の痛みはあります。また、稀に一週間程度の腫れが残ってしまう場合もありますが、速やかに日常生活に戻れることがほとんどです。
③ 効果にばらつきがある
PFC-FD™療法は個人の血小板に含まれる成長因子の働きを活用した治療です。そのため、一般的な薬と違い効果にばらつきがあります。
④ 未発見のリスク
ご自身の血液を利用した治療法のため、拒否反応やアレルギーリスクは非常に少ないと考えられ、深刻な有害事象は報告されていません。
とはいえ、新しい治療ということもあり臨床データがまだ少なく、今後新たなリスクが発見される可能性がないわけではありません。
PFC-FD™療法を受ける流れ
① 採血
当院で採血を受けていただきます。
患者様から約50mlの血液を採取し、厚生労働省認可の細胞加工センターに送られます。
② 抽出(PRPの作成)
細胞加工センターに届けられた血液を、遠心分離機にかけ、PRP(多血小板血漿)を作成します。
③ 活性化
PRP内の血小板が持つ成長因子を活性化させます。
④ セルフリー加工
「セルフリー加工」とは「無細胞加工」と訳され、作製されたPFCに残った細胞を専用のフィルターを使用して濾過することにより除去します。
※なるべく成長因子が直接患部に届くためにこの処理が行われます。
⑤ フリーズドライ
無細胞加工が施されたPFCを凍結乾燥します。凍結乾燥することにより長期保存(約6か月間)と輸送の簡便化が実現できます。
※成長因子成分の含有量やその働きに対してこの凍結乾燥技術による影響はなく、生理食塩水で溶くことで元の状態へと戻すことができます。フリーズドライ後のPFCが「PFC-FD™」と呼ばれる状態です。これで「PFC-FD™」の完成です。
⑥ 患部へ注入
採血からおよそ3週間後、当院にて患者様が来院するタイミングに合わせて凍結乾燥された「PFC-FD™」を生理食塩水で液体に戻します。
液体に戻した「PFC-FD™」を患者様の患部へ注射することでPFC-FD™療法は完了となります。

費用について(自費診療)
初診料 | 3,000円(税抜) |
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PFC-FD治療 | 170,000円(税抜) |
- 初回検査で感染症等により治療適応でなかった場合には採血・検査料として15,000円(税抜)のご負担をお願いします。
- 料金には診察料、採血・注射施術料、技術料、精製キット他諸材料費が含まれます。